高い金額を支払う上質な顧客を掴むマインド
デブ福は野球部なので、本音で言えば野球で稼ぎたいでしょう。しかし福は野球ではなく「犬小屋製作」をはじめとする「犬事業」を得意とし、それで稼いでいます。いくら野球が好きで得意でも、それで「顧客に金を払ってもらう仕組み」を作ることができなければ金は稼げません。当たり前です。
ラグビーを10年やってる奥村にしても同じ。ラグビーで稼ぎたいのは山々なところを、男のパパ活という商標を自ら作り、それで稼いでいる。好きで得意なのはラグビーですが、ラグビーを用いて「顧客に金を払ってもらう仕組み」を作ることができないので、それ以外のことをして稼いでいるのです。
デブ福にしても、奥村にしても、報酬は破格です。奥村に至っては1時間30万円以上支払う上質な顧客がゴロゴロいます。彼らは奥村がラグビー生活10年で培った性質や体格を含めた全部を、高く評価し、躊躇なく金を払う。奥村はそういう顧客を自ら開拓し、掴み、恵まれました。
競技場でラグビーをプレイしているだけでは、そういう顧客を奥村が掴むことはできなかったでしょう。それは、ラグビーの試合では、顧客はラグビー目線で選手を評価するからです。ラグビーというスポーツにおける能力やスキルで選手を評価し金を払う。残念ながら大学生の奥村には、まだまだ、ラグビーで評価され高い金を支払われるのは難しい。
それはそれ。とスパッと割り切り、自分の勝負できる市場、自分が勝ちやすい市場を探し、そこで男のパパ活というサービスで勝負をしたおかげで、奥村は上質な顧客を何人も見つけ掴み取ることができました。好きで得意な分野にこだわり続けていたら、上質な顧客を自ら掴み取ることはできなかったでしょう。ここはとても大事なところです。
価値は探すものじゃなく磨くもの
自分の価値を売らないことには貧困から脱出できない説明はこれまで何度もしてきました。時給1300円でどれだけ働こうが、貧困から脱出できないのは、もう説明はいらないでしょう。現実そうなっている人がものすごくたくさんいるわけですから。
わかりやすく言えば、1時間1300円とか2000円という数字には何の根拠もなく、そもそも安すぎるんです。最低でも5000円という金額がつかないと、貧困から脱することはできません。
例えば、ある金持ちが地域掲示板で掃除のバイトを募集しました。1時間最低3000円としましょう。
普段から掃除には並々ならぬ意識を払い、研究に研究を重ねている白井君、自分の部屋も机の上もぐちゃぐちゃで、普段から掃除なんか全然しない赤井君のふたりをそれぞれ雇ったとします。
白井君は1時間で5万円受け取りました。赤井君は1時間で3000円を受け取りました。
こんな話はそこら中にあります。掃除がテーマなら、掃除のプロフェッショナルにたくさんの金が支払われるのは当然です。それが花壇の手入れだろうが、犬の散歩だろうが、高齢者の入浴介助だろうが、全てのサービスで通用する話です。
特に、金持ち(富裕層と呼ばれる人びと)はそこらへん、きっちり評価してくれます。だからキミが得意とすることを仕事にすれば、必ず、そうでない人よりは高い評価を受け、その評価を報酬に反映してくれるでしょう。
この「自他ともに得意と認めること」が価値です。
50万円のセンズリと1万円のセンズリ⑤
ギャラ50万円支払っても惜しくないと思える男のセンズリというのはどんな男のどんなセンズリか。話が具体的になり俄然興味が湧いてきました。
とりあえず自分自身のセンズリ動画を撮りまくり、それをゲイ兄さんに見てもらい添削してもらうことにしました。すると予想外のところを顧客(視聴者)は見てることに気づきました。
ほんの一例ですが、
足はしっかり開け!
と言われました。
両足をしっかり開き、足の太さを強調するような角度から撮影しろと。
もう、プロっぽくて、すげ!と思いました。そこか!みたいな。他にもそれこそ1000くらい指摘をしてもらいました。指の使い方、声の出し方、どんな声やどんなセリフを言ったらいいか、、、。山ほど受ける指摘が面白くてたまりませんでした。直せば直すほど価値が高まっているような気がしてきて、売ることより制作することに没頭しましたね。
マサヒロがメガホンを持って監督をしてくれました。
ギン!顎顎!!顎の角度あげろ!
ってな具合で、顎の角度にすら文句をつけられました。
もっと苦しそうな顔しろ!楽しそうにやるんじゃない!!
とか。
おいおい、もっと戸惑えよ。そんな自分から進んでやったら全然エロくないだろうが!ちょっとは嫌がれ!ためらえ!!
とか。
山口は進んで喜んでやってたので、どうやら売れ筋とはずれてたみたいですね。ずいぶん修正されたおかげで売り上げはどんどん伸びていきました。
50万円のセンズリと1万円のセンズリ④
1000通りのセンズリを考案したからと言って、50万円のセンズリと1万円にも満たないセンズリの違いを解明したことになるのか。
と指摘する友だちがいて助かりました。どうやら山口はとんでもない勘違いをしていました。社長に50万円と言われ、ついつい「50万円で売れるセンズリ」と思い込んでいました。
しかしいくらネット検索しても、定価50万円どころか20万円の動画もありませんでした。どうやらそもそものところの解釈が違っていたようです。
社長が言った50万円というのは、ギャラとして支払う額が50万円でも惜しくない、という意味で、それはつまり、その男の動画を使って500万円くらい儲けるから、そのうちの1割くらい払っても全然損だと思わない。
と、いうことだったようです。要は、その男も社長に「搾取」されている。ギャラ50万円貰えた!と言って能天気に喜んでいる場合じゃないっていうことです。
そうかそうか、なるほど。合点が行きます。
てことは50万円どころか、ギャラ100万円支払っても惜しくない男もいるってことです。その男の動画を使って1000万円以上儲ければ、100万円くれてやっても痛くも痒くもないという訳です。
ギャラ100万円支払っても惜しくない男のセンズリっていうのは、1000万円売れるセンズリってことです。
例えば、定価3000円で3000本売り上げる先ずりということです。
実は、後に山口がどんどん新作を出すようになって分かったのですが、3000円で3000本売り上げるというのは、全然難しくないということでした。世界にゲイは3億5000万人いるんです。そのほとんどがネットにアクセスしている。売れるに決まってます。
50万円のセンズリと1万円のセンズリ③
センズリの虜となった山口は、右手を封じたお陰で、多彩なセンズリを考案せざるを得なくなりました。これぞまさに瓢箪から駒です。
「右手禁止」と張り紙をしただけで、こんなに!こんなにたくさんのやり方を見つけることができるなんて!と、マサヒロや大学の友だち、福岡の友だちに動画を送りつけたくなるくらい、(送りつけてました)いろんな方法を見つけた。
おれ、右手、いらんかも。
とすら思ったくらいです。いちばん驚いていたのは一緒に住んでいたマサヒロと尚先輩です。
毎晩自分の方向にカメラを向け、シコっている自分を撮影している山口を見て、
なんしよっと。
とマサヒロは興味津々で聞いてきました。50万円のセンズリと1万円にも満たないセンズリの違いを解明するため。と説明すると、おれも協力すると言ってくれました。さすが盟友と呼び合うだけあります。
本来ならもっと詳しくリアルに説明したいのですがアメーバ規約で削除されること間違いなしなので、アメブロでは説明できません。ご容赦ください。
結論を先に言うと、4年間で1000通り、右手を封じたセンズリ方法を考案しました。
50万円のセンズリと1万円のセンズリ②
センズリの虜と言っても、センズリそのものは10歳からやっていたので、初体験というわけではなかった。気持ちいいことは知っていたし、ほとんど毎日、気持ちいいからやっていた。でも、毎回、同じ右手を同じように動かし、毎回同じような「おかず」を眺めながら、同じような時刻に同じ所要時間をかけ、同じように射精し、片付ける。
まさに「昨日と同じセンズリ」を毎日毎日飽きもせず繰り返していた。
教科書を反復するのとは同じ繰り返すでも訳が違います。教科書を反復すれば、基礎が固まり応用が効くようになる。でも「昨日と同じセンズリ」をいくら繰り返しても、そこに応用とかイノベーションなんてものは生まれるはずもない。射精の瞬間が気持ちいいだけの理由で、毎回毎回常同行為をしていたと表現して良いのではないでしょうか。
センズリの虜になった以上、常同など問題外です。
山口は直ちに右手の使用を禁止にしました。そのくらい大胆な規制をしない限り、50万のセンズリと1万にも満たないセンズリの違いを解明するなど不可能だと思ったからです。
とにかく「普通に」「皆と同じように」「よくある形で」シコっててはダメだと思いました。そんなんじゃ、誰も価値があると思わないに違いない。高い価値を感じないと思っていたのです。
同時に、ネットで50万円のセンズリが売ってないかどうか検索しました。正確にいうと「50万円のセンズリ動画」が売っていないか、です。結論をいうと、ありませんでした。高いものでも1万円くらい。そこには確かに、500円のセンズリもあれば1万円のセンズリもありました。でも50万円というのは、、。あれは言葉の綾だったのか。いやいや、そんなはずはなか。あの時の社長の言葉はそんな薄っぺらいもんじゃなか。ついつい安易な結論を導き出そうとする自分自身を、山口は戒めました。
50万円のセンズリと1万円のセンズリ
山口がアダルト業界にダイヴした1番の理由は、大学1年の4月にバイトしたビデオ会社の社長の、この言葉です。
50万円払っても惜しくないセンズリもあれば、1万円も払いたくないセンズリもある。
めちゃくちゃ含蓄の深い言葉だと思いました。
そもそも、当時の山口には、男のセンズリに金を払う人がいる、ということ自体が驚きでした。福岡から出てきたばかりでしたし、福岡でそういう話を聞いたことがなかった。
東京ば凄か都市たい!と福岡の友だちにメールしたくらいです。
その社長の言葉がなければ、山口がアダルト業界に参入することはなかったと思います。それくらいに興味をそそる言葉でした。
50万円払っても惜しくないセンズリというのはどんなセンズリなのか。
思わずその時、社長に訊ねようとしましたが、ぐっと飲み込んだことを覚えています。聞いてしまったら面白くなくなる。自分で探したい、確かめたいと思ったんです。ちょうど大学受験が終わったばかりで、脳みそが「新たな目標」を欲していたのかもしれません。
その日から、山口はセンズリの虜になったのです。